雑 詠


 
            越智 通世


        わずかなる作業も疲れあとをひく
              不本意なれど経し年思う


        為す無き日老の獄(ひとや)の味わいに
              かくてならじと明日を誡む


        夢に居て力充ちあり下肚に
              甲斐ある業を拓きゆくとき


        果すべきもくろみ無くば老懶す
              せめて身辺整理努めむ


        永らえて思い残すはうすけれど
              ひと日ひと刻(とき)ただにかしこめ


        友逝けば夢幻の思い募りくる
              さあれ現(うつつ)はただいまここに


        思うたび胸の温もり保ちたし
              何より妙薬日毎の端坐


        繰り返えし「心ならずも…」唯に言う
              はらから守ると生死超えしを


        平和言い大平言いて開・終戦
              底なる真実(まこと)那辺貫く


        事あれば武力ふるいて殺傷す
              自由と民主たやすきことか


        痛ましやいつまで続く自爆テロ
              人々殺(あや)め何の功徳ぞ


        災害の尽くることなく東西
              思いに消すな苦難の姿